*冷灰/ユニコーン
冷灰のうえを歩くユニコーンがふりかえる。
その目にわたしはうつらない。
わたしにも、ユニコーンにまたがる少女は、見えていない。
こわいというきもちだけが真実ならば、
/
だれかが気がつく、太陽はひとつじゃない、
だれかが落ちた、
大声で叫ぶだとか、
失神するほど泣くだとか、
うで、ちぎれるほど、結びあうだとか、
そういうことがなくても、
あっても、
時間は非実存だ。
わたしだけがあつかえる、まさに、わたし自身とおなじ。
外側はない。
腸結世界にあとすこしで、夜がおりる。まだすこしで、
*
ふうりんのことを考えていた。
もののことはあまり考えてないほうだから、もののうちでは、
いいなと思う。
音がいい。
透明さもいい。
小さいことも、なかなかいい。
あれをさげて歩いたら、わたしも夏風案内人。
それはしないが、窓辺にさげたら、どうだろう。
チリンチリンとときどき鳴るか、もしくは、ただひかるか。
風もひかりもない日や夜は、ふうりんはどうしているのだろう。
ものには、時間がない。
明日がくることも、空が晴れることも、ふうりんはしらない。
*
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