**チュウチュウ!

好き、はどこに落ちているのだろう。
みあたらない。
こわいはわかるのだが、好きがわからない。
より正確に言えば、みんな好きな気がして、好きじゃない以外であれば、おしなべて若緑色に見える。

*︎

制服のわたしに、おはようを言うひと。
制服のわたしを、みないひと。

私服のわたしに、おはようと言うひと。
私服のわたしを、みないひと。

私服のわたしはきれいで、
制服のわたしはきたなくて、
私服のわたしはたにんで、
制服のわたしはおなじ巣のなかま。

にょじつな目線のなかで、わたしはかんたんに声を切り替えられず、あいまいに微笑んでばかりいる。

ねずみの巣にくらしているわたしたちは、チュウチュウ鳴いちゃう。
なかまがいてうれしくて、もぐらに軽蔑されてかなしくて。
チュウチュウ。

制服のあなたに、おはようを言うわたし。
もっとおおきなこえで!

私服のあなたに、おはようと言うわたし。
もっとえがおで!

チュウチュウ鳴きが呼んでいる。
わたしははっきりとしたかんがえもなく駆けつけて、おなじように駆けつけてきたあなたに、言う、おつかれさまです。



6/10

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