**かにかま/夏

救命ボート

空が今日、青かったのかどうか、わかりません。
わたしは見あげなかったから。
もしも、今日の空が、棚からさがる、宝石みたいな葡萄のひと粒、そんな色をしていたのなら、
ざんねんだなあ、見逃しちゃったよ。

わたしは、なにを見ているだろう。
なにを知れているだろう。

ぜんぶ見たくて、ぜんぶ知りたい。

ほらね。 / うん。
ことばは、ときどき、先行する。
わたしは、あとを追い、同期する。

右耳が、ことりのあたらしい巣に近いらしい。
あの子の音が、よく聞こえる。

ほかのものは聞こえないし、見えない。

aテーブルにて、かにかまがまっています。
あれは、およげないのだ。

晴天がつづいている。
ひとときでも、抜ける空が見上げられたならば、わたしは、夏だなあ、とおもうだろう。

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