**かにかま/夏
救命ボート
空が今日、青かったのかどうか、わかりません。
わたしは見あげなかったから。
もしも、今日の空が、棚からさがる、宝石みたいな葡萄のひと粒、
ざんねんだなあ、見逃しちゃったよ。
わたしは、なにを見ているだろう。
なにを知れているだろう。
ぜんぶ見たくて、ぜんぶ知りたい。
ほらね。 / うん。
ことばは、ときどき、先行する。
わたしは、あとを追い、同期する。
*
右耳が、ことりのあたらしい巣に近いらしい。
あの子の音が、よく聞こえる。
ほかのものは聞こえないし、見えない。
*
aテーブルにて、かにかまがまっています。
あれは、およげないのだ。
*
晴天がつづいている。
ひとときでも、抜ける空が見上げられたならば、わたしは、
*
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