*星が燃えている
星が燃えているのを、ひと月ほど前だったか、見た。
わたしの好きな夜の散歩(ほかは、珈琲と伊藤計劃としている)
赤い尾はきみょうに直線なのに対し、
大きかった。落ちたら、この星が死んでしまうくらいに。
まぶしかった。その夜空の一画を解き明かしてしまうくらいに、
いっしゅんのことだった。
気がつくと、わたしは街路に視線をもどしており、
数歩歩いてから、はっとして、顔をあげた。
ひかりは、もうどこにもなかった。
あれは、わたしのげんじつだった、といまになって思う。
なにを見たにしても、見ていないにしても、
きれいだった。
鮮烈なだいだい色は、記憶のよわいわたしのなかで、
星は死につづけている。
*
生きているひとがえらい。
ほかに代えのない価値観を、わたしは信じつづけたい。
*
明日から、また歩きだす。
*
6/14
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