**雨と奥底
ことばが先行している感覚がある。
やはり、過剰なのだ。
わたしはなすすべもなく、ことばらしいものになっていく。
あたらしいわたしが軋んでいる。
二重三重の改稿が、なんらかを阻み、同時に、生み出していく。
傍観者でいられることを手放してはならない、と、
わたしの奥底にだけ聴こえればよい。
奥底に辿り着くためには、反響をあきらめることだ。
*
梅を漬けた。35度のホワイトリカーは、
梅酒づくりにたずさわったのは、初めてで、梅は、
おへそをぷつぷつ弾き飛ばして、
氷砂糖をみると、なぜか、わくわくした。
この世でいちばん甘いくうかんを閉じこめる。
よいぐあいになるには、どれほどの時間がかかるのか、
*
そこがぬけそうな雨がはじまった。
わたしは雨が好きだ。
*
雨は、雨のことを知っているだろうか。
*
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