無日2
ことばの世界へつづくプロダクトキーもまた、ことばでできている
ことばの取り扱いに長けているひとびとがいて、かれらは、
分類のなかで、ことばはささやかれる。
ときどき、ことばは声になり、声は波になり(大波……小波……)
分類のそとまで跡をのこす。
社会という枠組があるとして、枠内大小の分類は、
依存し、支え、傷つけ合いながら、社会の細胞として生きている。
細胞群のあいだ、《どろどろとした無言》の領域に、
(そこには内側がない、よって外側もない。社会は、べろり、
*
名前のないわたしたちは、共通言語をもっていない。
「どこにいますか」「だれですか」「わたしですか、
問えず、
「わたしです、そしてあなたです」「ここにいます」「いや……
答えられない。
*
わたしには名前がない。分類のなかにいない。
*
答がほしいわけじゃない。
ただせめて、目をあわせたい。
どこかにいるであろうわたしと、ほんのひととき、いちどきり、
互いを見つけ合えたら……『ここにいる』そう、気づき合えたら、
ひとはそれぞれ生きている。わたしもここで生きている。
あなたはどこで生きていますか。
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